2018年11月04日 10:30 - 11:00

ふるさと 日本の昔ばなし セレクション

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「百合若大臣」 「お酢のささやき」 「髪そり狐」 をお送りします。お楽しみに!! 私たちの現在の生活・文化は、はるか昔から人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。 柄本明   松金よね子 【オープニングテーマ曲】  『僕たちの世界』   歌:水森かおり   作詞・作曲:坪野竜也 【アニメーション制作】トマソン ※解説放送あり http://ani.tv/mukashibanashi 柄本明 / 松金よね子

昔 南の国を治めている百合若という大臣がいた。
この国には島がたくさんあり
妻や家来を連れて見て回るのが百合若の仕事だった。
美しい島ですね。(百合若)ああ みんなの宝だ。
ふるさと 日本の昔ばなし セレクション
島に着いたらお昼にしよう。(2人)はっ。
一番家来は百合若の人気が気に入らなかった。
そして いつの日か大臣の地位と
その妻を奪ってやろうと考えていた。
ところで百合若は7日間眠り続け
次の7日間は起き続けるという人だった。
眠りに入るとその間の世話は妻がしていた。
百合若様。どうした?
西の島の長者がお忍びで来てほしいと。
わかった 行こう。そなたたちは待っててくれ。
百合若を乗せた舟は沖へ向かった。
しだいに周りの島が見えなくなった。
ずいぶんと離れたところに人の住む島があるんだな。
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着くまでこれで喉を潤してください。
うむ。
渡された竹筒の中には眠り薬が入っていた。
一番家来のたくらみだったのだ。
薬の効果が切れて目覚める頃あなたは再び7日の眠りに入る。
フフッ。
これで大臣の地位と妻はわしのものじゃ。 フハハッ。
ハッハッ!
これは 百合若様がお召しになっていたもの。
本当にあの人は急な病で?
残念ですが。
わしに即刻 大臣の役目と妻を譲るとの仰せでした。
そんな まさか。せめて喪が明けるまで待っては…。
大臣の遺言である。それに政は待ってはくれぬ。
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あ~。奥方様。
一番家来は百合若の屋敷に住みついた。
はぁ。
言うことを聞かんか。 わ~っ。
どうどう この馬は百合若様にしか乗りこなせませんよ。
やかましい。 こんな馬は馬屋に閉じ込めてしまえ。
はい。もう! おっ。
さあ 飯にするか。
すみませんが今は食べたくないんです。
フン そのうち言うことをきかせてやる。
おい 飯だ。 飯の支度をせい!
一番家来は大臣の地位を悪用して贅沢三昧の暮らしをはじめた。
島の民は重い税を課せられ生活はどんどん悪化していった。
百合若様。
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その頃 百合若は
魚や貝を食べて命をつないでいた。
んっ? お主も食うか?
百合若は動物と心を通わすことができた。
7日間の眠りの間も無事でいられたのは
彼らのおかげだった。
百合若は 何日も島を歩き回り
帰るための道具を探し続けたが
それも 見つからぬまま数か月が過ぎた。
ああ わしは 国に戻れないのか。
ふと夜空を見上げると
優しい妻のことが思い出された。
そのとき 百合若は
体に力がみなぎるのを感じた。
なんとしても 国に帰り
一番家来を倒すことを心に誓った。
んっ 難破船だ。
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これでいかだをつくれば国に帰れる。
百合若は とうとう島を脱出した。
ところが…。
大嵐に巻き込まれてしまった。
百合若は一睡もせずに
いかだを漕ぎ続けた。
さあ その馬に乗れた者には褒美をとらすぞ。
いてっ。うお。
ハッハッハッ!どうした 誰も乗れんのか?
百合若待て!ほっ?
久しぶりだな。
無礼者め 誰かあの汚いやつをめしとれい。
待て わしが この馬に乗ってみせてやろう。
おもしろいだが 乗れなかった場合は
馬もろとも手打ちにいたす。
元気であったか?
ハハハハ 寂しがらせたようだな。
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なんだと?まさか 貴様は 百合若!
そうだ わしだ!地獄の果てより舞い戻ったぞ。
さあ 我が愛馬よ。
一番家来に罪があるなら蹴散らせよ。
い いや 誰か わしを助けんか。
うわ~。
百合若様のお刀です。
ひえ~!
みんな待てぇ~。
しまった~!
百合若様 許してください。
覚悟。百合若様!
いやあ~!
あ~あ…。
二度とわしにその顔を見せるな。
ひぃ~ ごめんなさい。
百合若様 ご無事で。
事情を知った妻はつくづく己を恥じた。
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馬や動物 鳥でさえあなたを助けたというのに
私は…。
離れてる間もそなたの顔を思い浮かべ
力を授かったぞ。
百合若様…。
人は 時に騙され失敗することもある。
だが必ずやり直すことができるのだ。
昔むかしお酢を造っている男がいました。
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おぉ~。
んっ? こりゃいかん!
んっ? あらまぁ!
シュロの葉を取ってきて倉の窓を覆いました。
これでバッチリ!
この男頭の中は お酢のことばかり。
カラスにバカにされてもまったく気づきません。
そして 日がな一日 お酢のおしゃべりに耳を傾けています。
暑い… 暑い… 暑い…。
まだ暑いかの?風があるといいんだが…。
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今年のほうが 少しは涼しいか…う~ん! ほれ 風じゃ。
よい よい… よい よい…。
樽の中で賑やかにおしゃべりするお酢は
かめに移されてからもそっと おしゃべりを続けます。
まだ まだ… まだ まだ…。
そうか もう少しかかるか。
こっちは どうかな?
ふわ~ よいころ よいころ。
こうなればお酢の出来上がりです。
お酢造りにはとても長い月日がかかるのです。
そうそう 町の酒屋のご主人がね
いいお酢があったら欲しいそうですよ。
あの商売上手の酒屋の親父がか?
何ですか お得意先に都の料亭が何軒かあるとかで
お酢も頼まれたそうです。
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くしゃみ
寒いか?ちょっと冷えてきましたね。
私のこと心配してくれてるんですか?
お酢が寒がっとる!はっ?
窓閉めてくる!
くしゃみ
それは ずいぶん前から寝かせてある お酢のかめでした。
とびきり とびきりかんろ かんろ…。
うまい!
香りと ほのかな甘さが口に広がります。
とびきり上等なお酢が出来たのです。
このおいしさ酒屋の親父も驚くわい。
わしも そろそろ職人として名前を上げるときかなぁ。
ん~ こんなうまいお酢 初めてだ。まさに かんろ かんろ。
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どうだ? 売れそうかのう?
おぅ こりゃ儲かる。どんどん造って儲けましょうぞ。
のう? ワハハハハ!エヘヘヘ!
そこで男は 町でいちばん大きなかめを買い 家路に着きました。
《5倍の大きさの入れ物で造れば5倍
更に倍の速さで造れば儲けは10倍。 フフッ フフフフ!》
男は お酢を大量に素早く造ることにしました。
お前さん 大変! 大変!お客さんが…。
えっ?
あ~っ!
ここのお酢はえらく体に効くらしい。
おぅ じいさまの曲がった腰がピョーンと伸びたそうな。
はいはい 1列に並んで。数に限りがあるよ~!
いっ いつの間に!
商いのコツは素早く噂を広げることじゃ。
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あっ 儲けは半分半分でな。
でも そんな大勢の分は出来とらんぞ!
あ~ どうすれば…。
なあに 水で薄めればええ。え~っ!?
何をする!? ダメだ!
ほれ!ひぃ!それ~!
ひぃ~!ほれ~!ひぃ~!!
2人あっ?
あ~ まずい まずい!
みんなわぁ~!
持ってけ 持ってけ!
みんなわぁ~!
まずい まずい!
やめてくれ~!
2人うわ~!
お前さ~ん!
大丈夫ですか~?
お前さん!
あれ? お客さんは?酒屋の親父は?
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何 言ってるんですか。
慌てて家を飛び出して坂道を急ぐから
石につまずいて飛ばされたんですよ。
男は転んで気を失ったまま夢を見ていたのでした。
はっ! あ~っ!
わしが精魂込めて造った お酢が!
勘弁してくれ~!
それ以来 お酢は何もしゃべらなくなりました。
怒ったんじゃ~。
アホー アホー アホー。
ドアホ-! ドアホ-!
今日は 暑くなりそうですよ。
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お前さん いつも言ってたでしょ?
人が汗をかくときはお酢も暑がってるって。
あっ!
よい よい…。
よい よい。
もうすぐ かんろ かんろ かんろ。
しゃべった~!
こうして男は お酢のおしゃべりに耳を傾けながら
おいしいお酢造りに励み続けたということです。
昔むかし ある山奥の峠に
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おとん狐というあごひげの生えた狐がいました。
この狐 時々 人を化かしては髪をそり落とすので
近くの村人はたいそう困っておりました。
ある日 庄屋どんの家で村の者を招いて
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酒盛りをしました。
その席で おとん狐の話が出ると
和やかだった その場の雰囲気がいっぺんに悪くなりました。
よし。おとん狐を退治してくれれば
褒美に米一俵をやるが誰かいないか?
褒美と聞いて村でも力自慢で知られる2人の若者が
名乗りをあげました。
2人オー!
おとん狐を退治するのは朝飯前だ。
わしらに任せてください。
よし 頼んだぞ。
やめとけ やめとけ。お前たちが敵う相手じゃないわ。
そうそう よせばいいのに。
2人は ほろ酔い気分で峠に向かいました。
2人褒美だ 褒美だ!おとん狐をやっつけろ!
うわっ!
いたぞ いたぞ。おとん狐だ。
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あんなヤツに騙されてたまるか。
2人うわっ!
アイツどんなことをするのか。見てやろうじゃないか。
かわいそうに。爺さまと 婆さまは
おとん狐に化かされていなさるよ。
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なんとか教えてやりてえな。
そうだ。 ワンワンワン ワオーン!
何ごとかのう。
2人婆さま!
あの女は狐が化けてんだよ!
何 言っとるだ。
あれはホントに狐が化けた女なんだよ。
ウフフフフッ。
2人は峠で見たことを話しましたが
何度言っても 婆さまは信じてくれませんでした。
何ごとじゃ。
さっき この家に入ったのは狐が化けた女なんだよ!
お前たち酒クサイな。 酔っ払って夢でも見てるんじゃろう。
この反物の正体は汚れたムシロだ。
見てろよ!
2人あっ!やめんか!
2人あっ あ~っ!
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何をする!これは嫁入りする娘のために
大枚を叩いて織らせた反物なのに。
何 今にもとのボロムシロに戻るから見ていなさい。
おりゃ!(2人)あっ!
しかし ちぎってもちぎっても反物は ムシロに戻りません。
うりゃ!
ありゃ?おりゃ?
2人んっ?
あ~ 大切な反物が。
何の恨みがあって娘の反物を台なしにした。
い いや これは…。弁償しろ!
弁償って言われても。
弁償できねえなら奉行所へ突き出してやる!
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あ~ 許してくれ。
勘弁してください!
爺さまは2人を放さず奉行所へと向かっていきました。
すると そこに和尚さんが通りかかりました。
どうしたんじゃ。実は…。
和尚さんは 爺さまから騒ぎのわけを聞きました。
よう聞きなされ。
この若者たちは爺さまと 婆さまが
長年コツコツと貯めた金で買った大事な反物を
引き裂いてしまった。
けれど これは2人が爺さまと 婆さまが
騙されては気の毒だと思い
よかれと思ってやったことじゃ。
そうなんだ。 おいらは爺さまと婆さまのことを思って。
この2人を奉行所にやって罪人にしても
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引き裂いた反物は 元に戻らぬ。
しばらく 寺に預けて改心させては いかがかな?
和尚さんは2人を寺に連れていきました。
お前たちも頭を丸めたほうがよかろう。
さあ 本堂で 爺さま 婆さまを悲しませたことを
反省しながら 拝みなさい。
2人はい。
木魚の音
イテッ… イテッ! 痛い 痛い!
2人痛い 痛い…痛い! 痛い 痛い!
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あ~っ…。頭が痛い…。
俺もだ。
ここは どこだ?木魚を叩いていたつもりだが…。
お互いの頭を叩いとったか。
おとん狐 恐るべし。
笑い声
キツネの鳴き声
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