2018年11月03日 05:20 - 05:50

日本のチカラ

画像だけでダイジェスト

最高級の炭として人気の「土佐備長炭」…この炭作りを受け継ぎ、次世代へつなげていこうと奮闘する若き炭焼き職人の物語。故郷への想い、若者たちの情熱を追いかけます。 日本三大備長炭に数えられる「土佐備長炭」。鉄のように硬く、強い火力で長時間燃え続けることから最高級の炭として全国でも人気です。その土佐備長炭づくりを受け継ぎ、次の世代につなげていこうと奮闘している若き炭焼き職人がいます。高知県東部、室戸市吉良川町の窯元で代表をつとめる彼は、地域の産業が衰退していく中、自分の炭窯に地元で働きたい若者を受け入れています。 高齢化などから炭焼き職人が減っていく中、若い職人が増え、少しずつ地域に活気が生まれています。彼が地域の伝統産業を広めていく、その根底にあるのは「ふるさとへの想い」です。通りを歩けば誰とでも気軽に声を掛け合える、そんなふるさとの魅力を感じているからこそ、地元で働きたい若者の背中を支え続けています。地域の伝統産業・土佐備長炭、伝統の秋祭り「神祭(じんさい)」を通して、ふるさとへの熱い想いを伝えます。 全国各地の「魅力あふれる産業」を通して、地域の歴史や文化・人々の英知や営みを学び、日本の技術力・地方創生への道・温かいコミュニティー、生きるヒントを描き出す、教育ドキュメンタリー番組。 有吉都(高知放送アナウンサー) マシュー・ロー「まだ見ぬ人へ」 企画:民間放送教育協会  制作著作:高知放送  協力:文部科学省/総務省/中小企業基盤整備機構 ☆番組HP   http://www.minkyo.or.jp/    この番組は、テレビ朝日が選んだ『青少年に見てもらいたい番組』です。 有吉都

♪~
炭の焼ける音
日本三大備長炭の一つ
たたく音
鉄のように硬く強い火力で長時間燃え続ける事から最高級の炭として100年以上前から作られています。
日本のチカラ
今高知県内でも有数の土佐備長炭の産地室戸市で炭作りを行う若い職人が増えています。
本当に…地元に宝があったなっていうふうには思いますね。
『日本のチカラ』今週はふるさとを愛し地域の伝統を受け継ぐ若き炭焼き職人の物語です。
高知県東部室戸市。
日本のチカラ
太平洋に面した雄大な景観が楽しめる室戸市は2011年世界遺産の地質版といわれる世界ジオパークの認定を受けています。
その室戸市で土佐備長炭の産地として有名な吉良川町。
昔ながらの白壁の町並みが残るこの町は大正から昭和の中頃にかけて土佐備長炭の生産流通の拠点として栄えました。
日本のチカラ
風鈴の音
およそ2200人が暮らすこの町には今もたくさんの土佐備長炭の炭窯があります。
この炭窯の主黒岩辰徳さんです。
やっぱりこの木自体が硬いので。
ウバメガシやカシの木を使って作られる土佐備長炭。
10トンの原木を窯に入れ土佐備長炭になるのは10分の1のおよそ1トン。
日本のチカラ
原木から炭になるまで20日間もかかります。
黒岩さん奥が深く本当に楽しい仕事で。
でやっぱりこの地元にこういった産業があってやらさせてもらえるっていうのは本当にこの…。
本当に…地元に宝があったなっていうふうには思いますね。
♪~
和歌山県の紀州備長炭宮崎県の日向備長炭と並び日本三大備長炭に数えられる土佐備長炭。
およそ100年前備長炭作りの本場和歌山県から製法が伝わりました。
日本のチカラ
かつては年間1万トン以上を生産していましたがエネルギー需要の変化や中国から輸入される安い備長炭に押され近年
吉良川町でも高齢化などから職人の数が減り続けていました。
黒岩さんというかこの職業自体をやっぱり…小さい時は知らなかったのではい。うん…。
思っても…うん。
選択肢にすらなかったっていうような状態ですかね。
男性こっち…もう割作って構わん?
黒岩さんあっ大丈夫です。お願いします。
吉良川町で生まれ育った黒岩さん。
高校まで地元で過ごしたあと高知市内で会社員として働いていました。
やっぱそういう時に本当にああもう地元って本当温かいなって思いましたね。
日本のチカラ
ああこんにちは。どこ行きよる?
おおえらいの引き連れて…。ちょっと…はい。
黒岩さんぞろぞろ歩いていってます。
おおそれはそれは…。
アハハ…ありがとうございます。
ふるさとへの思いが募り4年で地元にUターン。
かつては遠洋マグロ漁など漁業の町として栄えた室戸市ですが主要産業は徐々に衰退。
若者は仕事を求めてふるさとを離れざるを得なくなっています。
黒岩さんは改めてその現状を痛感しました。
そういった時にこっちで働く場所があったら戻ってきたいになとかそういった話をしながら帰っていく後ろ姿を見たのがちょっと切ないような思いがありましたね。
日本のチカラ
そんな中黒岩さんに転機が訪れます。
2004年日本で使われる備長炭のおよそ8割を生産していた中国が自然保護のため木炭の輸出を禁止しました。
飛び込みで室戸市内の窯に弟子入りし2年間の修業のあと土佐備長炭を生産販売する窯元炭玄を立ち上げました。
やがて炭玄には室戸で働きたい若者が集まるようになり地元出身者はもちろん県外から移住して炭焼き職人を目指す若者も出てきました。
日本のチカラ
これまで炭玄で修業した若者は15人。
そのうち6人は独立して自分の窯で備長炭を作っています。
今年8月夜になってから。
炭を取り出す窯出しが始まりました。
現在炭玄では2人が修業をしています。
そのうちの一人笠松匠さん。
笠松さんは黒岩さんの高校の同級生で福岡県の大学に進学しふるさとを離れて働いていましたが今年3月に仕事を辞め備長炭作りを始めました。
日本のチカラ
炭が出てくる音
およそ1200度の窯から出てくる真っ赤な炭。
作業小屋の中は40度を超えています。
噴き出す汗もそのままに焼き上がった備長炭を窯から出していきます。
笠松さんいやまだやっぱ慣れんですね。
およそ1トンの備長炭を窯から出すのにかかる時間は20時間。
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熱さと闘いながら窯から炭を取り出し熱を取るため灰をかぶせる。
ひたすらこの作業を繰り返します。
黒岩さんおっ…お疲れっす。笠松さんお疲れさまです。
深夜になって黒岩さんが様子を見にやって来ました。
作業を手伝いながら笠松さんに細かなアドバイスを送ります。
黒岩さんまあ今回はそのやり方でも構わんけど。
そこで組んじゃったらやっぱ乾燥も効きやすくなってくるき。
組んでなかったら詰まるやん。気流がやっぱり悪うなるき。
まあ…そうやね。まず
わかりました。はい。
日本のチカラ
黒岩さんやっぱやってきた事の全部なんで。
今までやってきてあれ?ここはちょっと変やったかなっていうとこはやっぱこの窯出しでわかるので。
2人とも子供の頃にはその存在さえ知らなかった土佐備長炭。
決して大金が手に入る仕事ではありませんがふるさとで暮らしたい若者たちにとって大きな支えになっています。
黒岩さん本当はあそこに1個…。
2個だけあるわ。真ん中なしで。
炭焼き職人を目指す笠松さんが吉良川町内の山に向かいました。
備長炭の原料となるカシの木を伐採するためです。
険しい道のりを30分以上かけて歩いて登ります。
木を切るのも炭焼き職人の仕事。
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炭玄では契約した山からカシの木を切り出し備長炭にしています。
昔からウバメガシやカシの木が吉良川町に豊富にあった事が土佐備長炭の一大産地となった大きな要因です。
しかし一方で資源の枯渇を心配する声も上がっています。
この山を入ったの2年ぐらい前からって…。
日本のチカラ
2年ぐらい…かな?って聞いたので。
その前までは別の山に切りに行ってたみたいなので。
土佐備長炭の生産量が増えるにつれ大量に必要になる原木。
カシの木が成長する自然のサイクルを守りながらいかに炭を焼くのか。
これからの炭焼き職人にとっての大きな課題です。
なんとか無事8月乗り切りました。
また9月も頑張ってやりましょう。
お疲れさまです!(一同)お疲れさまです。
夏の暑さが一息ついた頃黒岩さんは一緒に働く仲間と作業場でバーベキューを行いました。
土佐備長炭で焼く肉や地元特産のトコブシ。
日本のチカラ
自分たちの仕事の成果を共有します。
冷たいうちに飲んでよ。
静かに飲みゆうと思うがって。
そんな事させねえ!
黒岩さん飲ませるんだ。一同の笑い声
すごいなって…。
すごいなって思います。
こんなんでええやろか?(黒岩さん)いや足りんっすね。
笠松さんまだ足りん?アハハハハ…!
若者たちに伝統の土佐備長炭作りを教える黒岩さん。
日本のチカラ
その原動力になっているのがふるさとへの思いです。
やっぱり…。
それをやっぱり…。
ものすごく…。
黒岩さんが地元で大切に思っている場所があります。
黒岩さん10月にここで地元の神祭があります。
日本のチカラ
中学2年生から人の接し方であったりお酒のつぎ方であったり…。
毎年10月に行われる御田八幡宮の神祭。
男性は中学2年生から祭りに参加する事ができ大人と一緒に準備や運営に携わります。
黒岩さんも中学2年生の時から毎年欠かさず参加しています。
黒岩さんこの地元を歩きよっても「おう飲みに行きゆうか」とか「仕事どうな?」とか声かけてもらえるし。
逆に言えば自分が中学2年生に会うても会話ができるんですよ。そこで会ってるんで。
「クラブ終わったか?」とか「早う帰れよ」とか。
ものすごくそこで…。
昔から変わらない人と人との絆が吉良川町の大きな魅力です。
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黒岩さんたち若い世代の炭焼き職人が増えた事もあって2014年備長炭の生産量で51年ぶりに本家和歌山県を抜き日本一に。
この10年で生産量は3倍以上になりました。
窯出し作業から2日後。
灰の中で熱を取った炭を取り出し選別作業を行います。
長さを切りそろえ炭の品質ごとに分けていきます。
大きさや見た目はもちろんですが品質を見極めるのに大切なのが炭の音です。
日本のチカラ
黒岩さん見た目はまあ似たような感じですけど…。
この音と…。
この音です。はい。
という事になりますこっちは。
黒岩さんまずは買ってくれた方が開いた時にあっこの炭すごいきれいやねって。
炭玄では年間およそ25トンの土佐備長炭を生産。
日本のチカラ
そのほとんどは業務用として全国の飲食店などに出荷されます。
高いものでは1箱12キロ入りで1万円近くするものも。
黒岩さんの携帯電話には注文の電話がひっきりなしにかかってきます。
急いで在庫を確認しています。
スタッフ注文のお電話でしょうか?
そうそう…そうですはい。
やっぱりなかなか間に合わせ…られてない状況があるのでどこか他で探してもらえませんかいう事ではお話もさせてはもらいゆうがですけど今日もありがたい事に本当いや待ちますと。
炭玄の炭を待ちますいう事で言うてくれゆう方がたくさんおりますので。
一生懸命焼かないかんなと思ってますね。
東京赤坂にある日本料理店乃木坂しん。
日本のチカラ
2年前にオープンする際店で使用する備長炭を探していたところ知り合いから薦められ炭玄の土佐備長炭を使う事を決めました。
サイズ感というか僕自身が焼きものを焼く時の使い勝手の良さっていうのは…。
炭の純度が高く食材の味を最大限に引き出す備長炭。
石田さんは直接黒岩さんの窯を訪ねて炭作りを見せてもらい炭玄の土佐備長炭に惚れ込みました。
日本のチカラ
♪~(祭囃子)
10月黒岩さんが待ちに待った神祭の日がやってきました。
見てちゃんと持ってきたもんうちわを。
まあこれを一年に一回着ると身が引き締まるというかそんな思いではありますね。
五穀豊穣家内安全を願って江戸時代から続く吉良川町の神祭。
町内の4つの地区がそれぞれ花台と呼ばれる高さ5メートルほどの山車を引いて町を練り歩きます。
日本のチカラ
進学や仕事でふるさとを離れていてもこの神祭のために地元に帰ってくる若者たちが大勢います。
この子も…県外からこの日のために。
ねえ?はい。
はい。ハハハハ…。
県外に出ててもこの時期になったらみんなが集まってワイワイできるそういう…なんかこう年に数回しかないめったにない機会なのでいいと思います。
久しぶりに顔を合わす後輩や友人たち。
黒岩さんおう!久しぶり。
ハハハハ…!やばい!
頭なんか付いちょる。ウソやなかったやん。
黒岩さんから自然と笑顔がこぼれます。
日が暮れて辺りが暗くなる頃ちょうちんにろうそくの灯がともされます。
日本のチカラ
夜になってからが祭りのクライマックス。
いくよ!せーの…!
一同よいしょ!
男たちがおよそ1トンの花台を持ち上げます。
土佐備長炭と共に受け継がれてきた伝統の祭り。
炭焼き職人としてふるさとで働く道を見つけた黒岩さんにとって守りたい大切なものです。
唄い手チョウサイヤー!一同チョウサイヤー!
唄い手チョウサイヤー!一同チョウサイヤー!
唄い手チョウサイヤー!一同チョウサイヤー!
唄い手チョウサイヤー!一同チョウサイヤー!
唄い手チョウサイヤー!一同チョウサイヤー!
唄い手チョウサイヤー!一同チョウサイヤー!
一同チョウサイヤー!拍手
それは人との関わりっていう部分もそうですしね。
日本のチカラ
またこれからみんなでこの伝統をどういうふうにまたつないでいくか。
また方法は変わるのかもしれませんけど大事につなげていかないかんもののこの町の一つやと思いますね。
ふるさとを愛し伝統を受け継ぐ黒岩さん。
さらに未来へとつながる取り組みを始めています。
10月中旬炭玄に子供たちの元気な声が響いていました。
日本のチカラ
あっ…結構みんな知ってるね。
地元吉良川小学校の子供たちが地域の伝統産業土佐備長炭を学ぶため黒岩さんの炭窯を訪れていました。
正解は10トンです。
イエーイ!(黒岩さん)すごいね。
子供の頃は土佐備長炭の存在を知らなかった黒岩さん。
これからのふるさとを担う子供たちにその魅力を再発見してもらうため炭窯の見学を積極的に受け入れています。
(黒岩さん)今来てくれている子たちが大人になった時にちゃんとこの土佐備長炭という産業があり続けないかんってまた余計に思いますよね。
日本のチカラ
そういった気持ちになりますね。
受け継いだ伝統を次の世代につなぎ地域の魅力を伝えていく。
ふるさとの未来のため黒岩さんは今日も炭を作り続けています。
『日本のチカラ』次回は山口県。
シンクロで町を盛り上げる男たちの熱き物語です。
日本のチカラ

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