2018年11月04日 06:00 - 06:45

じょんのび日本遺産

綿花栽培からはじまり繊維のまちとして発展した岡山県倉敷。商家の蔵と西洋式の工場や石造りの美術館が立ち並ぶ街並みをCMでおなじみのナタリー・エモンズが旅する。 「じょんのび」とは、新潟地方の方言で「ゆったり、のんびり」という意味。文化庁が認定する日本遺産をゆったり、のんびり巡り、日本各地の歴史や伝統、文化を訪ねる紀行番組です。毎回楽しい旅をするのは外国人の旅人。  日本固有の文化に触れながら、新鮮な驚きをもってその美しさ、奥深さを実感していきます。土地ごとの風土や暮らし、街並み、名物、まつり等が美しい映像で綴られているのも大きな見どころ。 旅人 ナタリー・エモンズ  ナレーター 森本レオ メインテーマ曲 「Continue feat.宮本笑里」 春畑道哉  エンディングテーマ曲 「花鳥風月」 春畑道哉 TBSビジョン TBS   ◇番組HP  http://www.tbs.co.jp/jyonnobi_nihonisan/ 番組の内容と放送時間は変更になる可能性があります。 ナタリー・エモンズ / 森本レオ

本州と四国を結ぶ瀬戸大橋
本州側に広がるのが岡山県倉敷
瀬戸内海から内陸に進むと
やがて古い町並みが見えてきます
江戸時代 幕府の直轄地である天領となった倉敷は
物資の行き交う商人の町として栄えました
その後 綿花産業でさらに発展し
伝統の町並みと西洋風の建築が美しく調和する
日本一の繊維の町へと成長してゆきました
江戸時代が今も香る蔵の町 倉敷
そこには一輪の綿花から始まる
発展の物語がありました
そんな倉敷を旅するのはナタリーエモンズさん
CMでもおなじみのナタリーさん
ふだんはロサンゼルスでアーティスト活動をしています
最初に目指したのは柳並木が美しい倉敷の中心地
きれい~
何かこの景色でポストカード作りたいです
きれい
「美観地区」と呼ばれる一帯です
かつて ここは周辺の物資を集積する
商いの中心地として多くの蔵が立ち並びました
その様子が蔵の町「倉敷」の語源とも言われています
中央を流れる倉敷川は物資を運搬する運河として賑わい
川の両岸には商家が軒を連ねました
倉敷川から1本 路地を抜けると
古い商家が連なる本町通り
衣類や雑貨など様々な生地を使った商品が
通りを飾っています
日本一の繊維の町 倉敷
どんな出会いが待っているのでしょうか
「tsumugu」 どういう意味かな?
へえ~ おしゃれ
ワオ おしゃれですね~
ああ 帽子かわいい
立ち寄ったのは地元の繊維工場が営む
このいと 紡
衣類やかばんなど 味わいのある
インディゴブルーの商品が目を引きます
こんにちは
石本いらっしゃいませ
この店 すごくおしゃれと思いますけど
ありがとうございます
これは何ですか?
これはストールになります
これはコットンで?
コットンですね
よかったら巻いてみられますか?
いいですか?
ナタリーさん 早速気になったストールを試してみました
え~ すごいかわいい!
めっちゃいいですね
グラデーション豊かなストール
とてもお似合いですね さすが
あの さっき歩いてたんですけど
このところに洋服のお店いっぱいありますよね
はい 倉敷は綿花産業が盛んで
繊維の町っていうので有名なんですけれど
糸を使ったり 素材を使って商品を作っているお店が多いです
でもすごい 手で作ったものを
すごくクオリティーがいいですよね
そうですね 1つ1つ 本当に丁寧に
職人さんが楽しみながら作っているので
そういった商品を私たちが思いをつなげれたらなと思って
はい 販売してます
思いを紡ぐ綿花の物語
早速 素敵な出会いがありました
美観地区には 今も天領時代の風習が残っています
その1つが秋に行われる恒例催事
地元の由緒ある神社の豊作を祝う秋祭りです
住民が主体となって獅子舞やおみこし担ぎなど
2日間にわたり盛大に執り行われます
祭りの日に往来を華やげる屏風祭
町内の各家が格子戸を外し
屏風や花を生けて人々をもてなします
一度途絶えた風習ですが
住民有志の手で2002年に復活を遂げました
自慢の屏風を通りに向け披露するさまは
江戸時代のままです
こちらも 一度廃れかけたという素隠居
いやあーっ!ストップ! よいしょ
老人の面をかぶって行き交う人々に
御利益を振りまきます
うちわで頭をたたかれると賢くなる
健康になるなどと言い伝えられています
ナタリーさん何かを見つけたようです
うわあ~ おいしそう
えっ いちじくパフェ?梨パフェ?
すごいおいしそうかわいい~
食べてみよっか
こちらは地元の青果会社が営むくらしき桃子
季節に応じたフルーツパフェが名物だそうですが
岡山といえば あれでしょうか?
吉田お待たせいたしました桃パフェでございます
おいしそう~
すごい 色がちょっと日本では白い桃が…
こちらが黄金桃という品種になります
桃の中でも貴重な品種 黄金桃を
ぜいたくに使ったフルーツパフェ
マンゴーのような濃い黄色と
引き締まった果肉が女性に大人気
うーん!
確かに 甘さがあるんだけどやっぱり味 濃いですよね
ありがとうございます 下には実は黄金桃のジェラートが入ってます
ジェラートにも果肉が入ってるので
うーん 感じましたすごい桃!
口も全部 桃になってるおいしい~
おいしい~
ナタリーさんとってもいい食べっぷり
倉敷で味わう桃は一味違ったのでしょうか
倉敷川の名物 川舟流し
ナタリーさんも乗ってみましょうか
すごーい
運河として米や綿花が賑やかに行き交った倉敷川
江戸時代に思いをはせそれでは ごゆっくり
涼しい~
穏やかですね
今日は風もないんでねすんなりといってますけどね
最高ですね
この左に鉄塔が見えると思うんですね
あれが火の見櫓というものなんですね昔はね あそこに火事があったりしたら
消防の人が上がって鐘を突いてね皆さんを招集したりね
お知らせをしてたとこなんですね
じゃ タワーから…
あの上に上がって周りを見てね
火事になったときはみんなにお知らせしてた
美しい町並みが今も残るのは
高い火の見櫓と火消したちが町を見守っていた
そのおかげだったんですね
これからね 左前方に出っ張った石垣があるんですがここが綿を荷揚げしてたとこなんですね舟で来たものをあそこで降ろして車力で中を運んでたんですね
綿花ね コットンを運んでたとこなんですね
先人たちの営みがありありと目に浮かぶような
素敵な時間でした
美観地区には古い町家や蔵を生かした食事処もいっぱい
ナタリーさん いい雰囲気のお店を見つけたようです
岡山県の郷土料理を出す浜吉 ままかり亭
どんな料理がいただけるのでしょうか
高吉はい どうぞお待たせしました
これは何ですか?
これは祭り寿司
郷土料理 祭り寿司またの名をばらずしと呼び
色とりどりの具材が美しい一品です
岡山ではお祭りや冠婚葬祭
来客へのおもてなしなどの食卓を飾ります
具材は そのときどきの旬のもの
ただ 1つだけ欠かせないものがあるそうです
それがお店の名前にもなっているままかり
これがままかりです岡山名物の 銀色の
ままかりって何ですか?
高吉これはニシン科のサッパいう魚であまりにもおいしいからご飯を借りるいうかまんまいうのはご飯のことで
岡山では一番の名物の1つです
へえ~ おいしそう
いただきます
じゃあ ままかり
うん やわらかい
あと ちょっと酸っぱいですね
高吉酢で締めてますから
ちょうどその味が合うんでそういうふうに
少し酢が入ってます下へシイタケ レンコンゴボウとか いろいろ入って
レンコン大好き!
すごい いろいろ入ってる
うん
うん おいしいシイタケ すごく甘い
レンコンの パリパリ
何かいろんな食感といろんな味が混ざって
お祭りみたいですね
じゃから祭り寿司
1つ1つの具材が持つ色と味のハーモニー
たっぷりと楽しみ味わいました
かつて ここは北前船の寄港地として
そしてまた綿花の一大産地として栄えました
倉敷の一帯はもともと浅い海でした
16世紀の終わりから干拓が始まり
江戸時代末期に ほぼ今の海岸線となったのです
塩分が多い干拓地では
米が育たなかったため
塩分に強い綿が栽培されました
町には 北前船と
綿花作りで潤った時代の
名残を見ることができます
そんな玉島で
綿花を栽培する西さんの畑を訪ね
収穫のお手伝いをさせていただきました
これね こういうふうに綿ができてるでしょ
綿を摘むんじゃなくて持ってね
こういうふうに引っ張って抜くんです
えっ すごーい
どっかやってみますかね
えっ 信じられない…
フワフワしてますよね
フワフワですよ
えっ 自然ってすごいですね
こちらが収穫期を迎えた綿の木
種を植えて およそ105日で
このフワフワの綿ができるそうです
これ… この辺りこれをやってみますかね
これでも…抜いてみてください
つまんで引っ張れば…
西おー 上手だ そうそう…そうですね はいそれでいいです
そういうふうにして綿を…
入れますね
すごーい
ナタリーさん 初めての綿花摘み
すんごいフワフワ…
楽しそうだ
わーお うわ~
いっぱい取れました
あっという間にカゴいっぱいの綿が集まりました
これが糸 なるんですか?
そうですね
これをね 種を取って糸にするんですが
玉島でもやってるんですよ
行ってみませんか?
お願いします
綿から糸を作る
繊維の町ならではの貴重な体験
やってみましょう
昔ながらの糸作りを教わるのは 原田さん
祖母から受け継いだ地域の伝統が失われないようにと
地元の人々にその技を伝えています
糸作りには大きく3つの工程があるそうです
まずは綿繰り機という道具を使い
綿の中にある種を取り出します
原田こっち側へ種が残ってますこの種を取ります
ナタリーさんも早速 挑戦してみます
おっ!
出た 出た
やったー!
原田それでこれを 種を取りますそれでもう一回 回して落ちますはい 落ちました
はい これ 出来ました
きれ~い
種ない 柔らかい
無事に 種が取り出せました
次は 弓を使って綿の繊維をほぐします
こういうふうにして…こういうふうにしていきますこう 巻き付けていきます
弓の糸をはじくと振動で綿がほぐれ
繊維が糸に絡まって出来ます
最後は ほぐした繊維の塊から
いよいよ糸を紡ぎます
これを糸車と言います
綿によりをかけて糸にします
ねじる?
原田はい ねじるんですここの瞬間を見といてください
ここはまだ綿です
これを回します
ここで糸になりました
すごーい
原田ある程度の長さになりましたらここを持って2~3回 回します
もうちょっときついになる
それで少しバックしてここに巻き付けます
これは少し難しそう
ナタリーさんうまくできるでしょうか
はい 回してみて時計回りに
アハハハ…すいません
原田いいですよいいですよ
はい 気を取り直して もう一度
もうちょっと速く回してください
緊張…
大丈夫ですよ はい大丈夫ですよはい はい…ずうーっと 引きます 引きます
ここまで引きます
はい ここをグッと持ってください
それで 2~3回 回して…
同じ方ですか?
はい 同じ方向へ
はい ストップ
きれいな糸になりました
糸になりました!
糸になりました
何気ない1本の糸にも
こんな物語があったんですね
素敵な体験ができました
日本一の繊維の町 倉敷
かつて紡績産業で栄えた時代の
心臓部ともいえる場所が残っていました
明治21年に設立された紡績工場
現在は 建物を改修し
ホテルやレストラン 文化施設からなる
複合施設として利用されています
きれ~い えっ 何 ここ?
素敵!
何か 日本じゃない感じしてますよね
何か ヨーロッパっぽいですね
目を引く赤レンガの建物は
産業革命以降世界の繊維産業を牽引していた
イギリスの工場をモデルに建設されました
こちらがね ホテルのロビーなんですけれども
紡績工場時代のちょっと面影がある所なんですよね
これが三角屋根の明かり取りになってます
変わった形ですよね
小林そうですね
屋内の照明が満足でない頃
イギリス風のこのノコギリ屋根が
工場のシンボルとして町のそこかしこに見られました
敷地の中をもう1カ所案内していただきました
こちらは…
工場時代の綿花の倉庫を改装して
記念館となった建物
倉敷の歴史が詰まった施設です
明治になりまして新政府になって
こちら倉敷の町がちょっと衰退してきたんですね
それじゃいかんという若い3人の青年がですね
綿花があるから紡績業をやろうと強い要望をされたわけですね
明治維新後鉄道の普及などにより
船便を頼りに商いを行っていた倉敷は
徐々に衰退していきます
そこで 綿花を生かして紡績産業を興そうと
3人の若者が立ち上がりました
その熱意に応え
資金の援助をしたのが
地元の大地主で
後に倉敷紡績初代社長となった
大原孝四郎でした
この3人と大原さんのおかげで…
おかげですね
今 倉敷が… 「倉敷がある」と言えばオーバーでしょうけど
ふるさとの未来を思う若者たちと
それを支えた人々の志が
繊維の町の礎を築いていったのです
綿から糸を作る
そうして紡いだ 長い歴史の中で
商人たちは立派な屋敷を建て
富の象徴ともいえる白壁の蔵が立ち並びました
町にはさらに繊維産業がもたらした富の象徴
その最たるものがありました
古い町並みに荘厳とたたずむ
ギリシャ神殿風の建物
日本初の私立西洋美術館大原美術館です
ああ~
あれ? 外国人!?
あっ ベルギーの女の人
着物着てるので… ちょっと不思議
へえ~ すばらしい
入り口で出迎えてくれた 1枚の絵
日本の着物を着たベルギーの少女が
色鮮やかに描かれています
こんにちは ようこそおいでで…大原です
よろしくお願いします
大原さん…
何か 紡績工場作った大原さんと関係…
そうなんです
私のひいじいさんが紡績工場の最初の社長だったんですけれども
実はこの美術館をつくったのが私のおじいちゃん
へえ~ そうなんですか
美術館の設立にはある思いがあったそうです
ずっと倉敷では あきんどたちつまり商人たちが
いろんなことで自分たちが蓄えたものというのを
例えば飢きんのときに何かお金を出すとか
そういうことで 300年にわたっていろいろ還元してきたんです
その後 明治になってから1つの社会に対して
何かいいことしたいなというのが
じいさんが この美術館をつくった一つの いわば志なのかな
すごいですね~
大原孫三郎は様々な社会事業に取り組む中で
画家 児島虎次郎と出会います
虎次郎は 東京美術学校
現在の東京芸術大学を2年という異例の早さで卒業
後に 日本における印象派の代表的画家となりました
虎次郎は パトロンとなった孫三郎の支援でヨーロッパに留学
西洋美術を学び多くの作品を残しています
ナタリーさんを出迎えてくれた絵も
彼が留学中のベルギーで描いた作品でした
その後 虎次郎は
日本の芸術界のためにと
孫三郎に絵画収集の援助を依頼し
自らの足で西洋の名画を購入して回りました
そうして世界的な画家たちの名画が
ここ倉敷に集められたのです
印象派の作品を中心に
1000点以上もの絵画が
所蔵されています
中でも 特に貴重な絵画がこちら
天使ガブリエルが聖母マリアに
キリストの受胎を告げる様子を描いたものです
「日本にあるのが奇跡」と言われるほど
当時は高額で入手が困難だったそうです
児島虎次郎の熱意と繊維産業がもたらした富は
それほどまでに大きかったのです
このすばらしい作品 見れるのは大原さんのおかげですよね
そう言っていただくのは本当にうれしいです
だけど 本当は 倉敷の町に私たちが育てられたから
こういうものになったと私たちは思ってます
すばらしい
町が人を育てる
繊維の町倉敷の美しいたたずまい
それは 古い日本の伝統と
新しい西洋の文化
その2つが織り成す
歴史の流れを物語っているのです
倉敷には綿花と繊維
そして人々による
美しい歴史がありました
ナタリーさんが旅した日本遺産
それは いにしえと今とをつなぎ
未来へと語り継ぎたい物語
次回は 倉敷をさらに旅します

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